歌う時のブレス(息継ぎ)を、意識したことはありますか?
細かいところではありますが、しっかりと息が吸えていないと、歌うことができません。
今回は、私が長年ボイストレーニングをしてきて分かったことを、まとめていきます。
鼻で息を吸い込むメリット
まず、鼻呼吸をすることのメリットを挙げておきます。
- 喉が乾燥しにくくなる
- 腹式呼吸しやすい
- 鼻に共鳴しやすくなる
口呼吸だと、なかなか上記を実践するのは難しいです。
これから、1つ1つ根拠を説明していきます。
●口で吸いこむのも良いが、喉が乾燥しやすくなる
歌う時に支障がないのであれば、最悪口呼吸でも問題はありません。
ですが、口を開けたまま息を取り入れると、喉が乾燥しやすくなります。
歌う時に乾燥しすぎると、上手く声を出すことができなくなります。
歌う時はなるべく、鼻で呼吸するようにしましょう。
鼻で呼吸すると、喉が湿気で保たれるため、乾燥を防ぐことができます。
●鼻で呼吸した方が、腹式呼吸しやすい
鼻呼吸の2つ目のメリットは、腹式呼吸がしやすくなることです。
腹式呼吸とは、お腹に息を溜めることで、普段よりも多くの息を取り入れる方法です。
呼吸法にはもう1つ、胸式呼吸というものがあります。
胸式呼吸は、普段私たちが話しているときにしている呼吸法のことです。
POINT・胸式呼吸=浅い呼吸
・腹式呼吸=深い呼吸
この2点を覚えておきましょう。
腹式呼吸はお腹を膨らませるイメージで行います。
普段口で呼吸している人は試していただきたいのですが、鼻で呼吸すると、自然とお腹の方に息が溜まると思います。
もし腹式呼吸の感覚が分からない人は、お腹を膨らますイメージで、息を吸い込んでみましょう。
●鼻で呼吸した方が、そのまま鼻に共鳴しやすい
3つ目のメリットは、鼻に共鳴しやすくなることです。
共鳴という言葉はなかなか聞きなれないかもしれません。
共鳴とは、声を響かせるテクニックだと思ってください。
歌う時になぜ共鳴が必要なのかというと、普段私たちが話すときに出している声では、圧倒的に声量が足りないからです。
歌声とは、声+響きです。
そして、人の共鳴できる箇所は、大きく分けて3つあります。
喉、口、鼻、この3つが共鳴腔と呼ばれるものです。
長くなってしまいますので詳しくは説明しません。
ですがそれぞれの共鳴腔の特徴だけ伝えておきます。
- 喉:太い声になる
- 口:マイク乗りが良くなる
- 鼻:声の抜けが良くなる
かなり大雑把にまとめていますが、それぞれの共鳴腔の特徴は上記の通りです。
そして、鼻に響きを集めると声の抜けが良くなります。
普段から声が小さいといわれる人は、鼻声を意識して話してみると良いでしょう。
鼻に響かせることで、遠くまで聞こえる声になります。
口呼吸で鼻に響かせようとすると、なかなか鼻に響きが集めづらいのです。
ですが鼻呼吸をすることで、鼻に意識が集中します。
鼻に意識を集中させた状態で、響きを集めることにより、鼻へ共鳴がしやすくなります。
全力で息を吸う必要はない
鼻呼吸の方が良いというのが分かったら、次は息の吸い方を説明します。
歌う時に、常に全力で息を吸い込んでいませんか?
結論を先に言うと、全力で息を吸うのは間違いです。
息を吸う時には、何も意識しなくて良いのです。
普段通りに息を吸い込むだけで、多くの息を吸い込もうとする必要はありません。
話す時と歌う時の息の量は、ほとんど変わらない
プロの歌手は、話す時と歌う時の息の量がほとんど変わらないと言われています。
科学的根拠を提示することはできませんが、私の体感では上記は事実です。
というのも、先ほど歌は声+響きだと言いました。
普段話している時に使っているものが、声です。
そして、響きは歌う時に必要なものです。
響きというのは、声を当てる位置で決まります。
声を当てるとはどういうことかというと、喉、口、鼻といった共鳴腔に、声を響かせるということです。
喉で声を響かせれば太い声になり、鼻で響かせれば、抜けの良い声になるのです。
声を響かせることに、息の量は関係ないのです。
声量で悩んでいる人は、たくさんの息を吐きだそうとするのではなく、声の当てる位置を考えてみましょう。
以上のことを実践すれば、普段の何倍も歌いやすくなるはずです。